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風の音 波の音

心の音

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《めぐり合い》

 

夕暮れ近く

水平線を見つめていると

ときどき

はるか遠くから

声が聞こえてくる

 

それは国も時間も越えて

波音とともに

浜辺に打ち寄せながら

悠久の物語

語り続けている

 

その物語を前にすると

人生というのはあまりに短すぎる

 

短すぎるけれど

大空に広がる雲たちのように

たくさんの心模様

生まれている

 

そういう心模様

いつか波音になって

 

はるか遠くの浜辺に

流れ着くこと

 

あるだろうか

 

 

 

 

 

《こころ色》

 

こころには色がある

そのとき

そのとき

色がある

 

濃かったり

淡かったり

かがやいていたり

くすんでいたり

 

たくさん たくさん

色がある

 

僕はそれを感じたい

自分のこころのその色を

 

 

 

 

 

《葉実》

 

心だけあっても

言葉だけ知っていても

相手に伝わることはあまりに少ない

 

 

種がまかれ

発芽し 

育ってゆく

 

花を咲かせ

実を熟す

 

 

言葉は果実に似ている

 

 

何かを感じる

言葉を覚える

それは種のまかれるとき

 

自分を生き

言葉の連なりを知りながら

心と言葉は調和してゆく

 

つぼみは膨らみ

花は香り

 

やがて言葉のなかに

生まれるものがある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浜辺に腰を下ろして

小さく揺れゆく波を見ながら

聞くともなく

波音を聞いている

 

 

打ち寄せる波 立たなくば

返す波もまた おきることはない

 

 

想いなくば 

言葉もまた 生まれはしない

 

 

詩は心だろうか 

 

言葉だろうか

 

 

夕暮れの風に

波音を聞きながら

見るともなく

小さく揺れゆく波を見ている

 

 

 

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